不安と一緒に始まり、自信と一緒に終わった6ヶ月でした。
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海外インターンシップを知った切っ掛けは?

大学 で留学説明会が開催されていて、その時に海外インターンシップの存在を初めて知りました。海外インターンシップを経験した先輩に話を聞き、海外で勉強するのではなく、「働く」という選択肢に気づかされました。漠然と海外経験をしたいと考えていた私には、海外で暮らしながら将来に役立つ就業経験が積めるインターンシップが大変魅力的に映りました。

海外インターンシップに参加をした目的は何ですか?

海外での業務経験を通して実践的な英語力、社会的コミュニケーション能力を向上させることが大きな目的でした。私はいわゆる「純ジャパ」で、幼い頃から英語に触れていたものの、特別な海外経験はありませんでした。そして大学2年間の英語学習を通じ、バイトや留学ではなく、インターンシップというより実践的な環境で自分の英語力がどこまで通用するのか試したいと思うようになりました。大学生の今だからこそできるインターンシップという実践の場で、ビジネス英語や営業をする上で必要となる力を身につけたいと思い、参加を決めました。

東南アジアをインターンシップ先に選んだのはなぜですか?

これには多くの理由があります。

まず欧米圏と比較すると、東南アジアでは日本人の需要が高く、仕事の裁量権も大きく、より主体的な業務ができる環境だと聞いていました。欧米圏ではかなりの英語力がないと英語環境でのオフィスワークは現実的には難しいと知りました。知り合いの先輩の中に、「カナダでインターンシップをしたものの、ホテルのベットメイキングで終わった」とか、「アメリカの日系企業で日本でもできそうな仕事をした」とか、そんな方もいました。私が海外インターンシップをする時には絶対日本ではできないような仕事をして、自分自身を成長させたいと思っていました。

また東南アジアは今後日本が関わりの強くなる地域だと考えていました。少子高齢社会に陥っている日本では新たな労働力として海外、特に東南アジアへ意識を向けることになると思います。2015年の段階でASEANの人口は約6.3億人でした。今もなお人口は増加し続け、15年後の2030年には約7.2億人、35年後の2050年には約7.8億人に到達すると予測されています。東南アジアは高いポテンシャルを秘めた、高成長を続けるマーケットです。この勢いある市場で日本と東南アジア間でのビジネスで必要となるノウハウを身に付け、将来は日本と東南アジアの人的交流をサポートできる人材になりたいと思っていました。

漠然と東南アジアという地域に興味もありました。私の大学では東南アジアの言語や文化、歴史を学んでいる人が多く、その影響で東南アジアという地域が非常に身近に感じられるようになっていました。私も海外インターンシップをする前に、シンガポール、バンコクに旅行で訪ねたことがありました。閉塞感を抱える日本とは対照的に、急成長を続ける東南アジア諸国の勢いは非常に興味深く感じられました。

なぜその中でもシンガポールを選んだのですか??

日本は少子高齢社会となり、ますます国内の労働力が不足しています。その一方、シンガポールは日本以上に小さな国でありながら、アジアで中心的役割として機能しています。この大きな違いとして、2つの要因を想定していました。女性の社会進出と外国人労働者の受け入れです。シンガポールは、数少ない労働資源である女性を積極的に支援しています。25から64歳の女性就労率は70%、共働きは75%です。日本と異なり、女性の労働環境が整っていることがわかります。また多民族国家であるシンガポールでは外国人労働者の受け入れにも寛容的です。以前、シンガポールを観光で訪れた際にも様々な人種が暮らし、働いていることに驚きました。国内の労働資源の少ない国でどう労働力を維持しているのか興味がありました。

また、シンガポールの暮らしやすさも大きなポイントです。まずは治安のよさです。私はあまり海外に慣れていないことに加え、心配性なため長期で滞在するなら治安のよい国を希望していました。

交通機関の利便性も決め手になりました。シンガポールではMRTが国中を走っています。以前短期留学していたアイルランドではバスが30分に1本来るかどうか、といった環境でした。のどかでそれもよかったのですが、はやく帰りたい時にはちょっとしたストレスでした。それも踏まえ、今度は交通機関の発達している都会での暮らしにしようと考えていました。

私のインターンシップ

1ヶ月目

この時期はシンガポールの英語に慣れることに必死でした。会社の方々は手段として英語を用い、その上で仕事をこなしていました。そんな中自分は英語という手段の段階でつまづいているのだと気づき、すごく焦ったのを覚えています。英語がわからなけば仕事にならず、社員の方とのコミュニケーションも難しくなってしまいます。以前に経験した短期留学とはまた違った緊張感がありました。対策として、わからないまま放っておくほうが失礼だと思い、聞きなおすよう心がけていました。また家に帰ってからはシンガポール英語のYouTubeを見て、はやく慣れるようにしていました。

1ヶ月目から社長やマネージャーとのミーティングに参加させてもらい、やりがいを感じていました。しかし、マーケティングメールで失礼なメールを送ってしまったことがあり、企業のチャンスをつぶしてしまったのではないかと反省しました。インターン生であっても企業の一員であり、責任感を持って行動しなければならないと気を引き締めました。

2・3ヶ月目

任されるものが多く、そして大きくなりました。2ヶ月目にやるべき仕事が終わらず残業などを重ねた結果、普段は体が強いのですが、体調を崩してしまったこともありました。休んでいる間は仕事ができないので、体調管理の大切さを思い知りました。

また仕事にはゴールがないことも実感しました。ある仕事全てを完璧に終わらせることは難しいので、仕事に対し優先順位を的確につけることが効果的です。未熟な自分が会社になるだけ貢献するため、自分がやるべきこと、できることを最優先に考えていました。

4ヶ月目

自分の力の無さを一番強く痛感し、自分的にはつらい時期でした。周囲のプレッシャーがある中、思うように結果が出ず、落ち込みました。優秀な社員やインターン生の存在と比べ、どんどん自信もなくしていきました。

しかし比べていても仕方ありません。先輩の要領の良い方法をなるだけまねし、自分のやれるだけのことをしようと試みました。また逆に、プレッシャーがあるということは自分は期待されていることでもあるのだと気づきました。インターン生を一人前として扱ってもらえる、そういった環境で働く機会を得られたことを感謝すべきだと思いました。なにより、自分より優秀な方々と働くことは大きな刺激になり、自分の課題を認識することができました。

5・6ヶ月目

基本的な仕事を一通り覚えられ、どう効率的にこなし結果を残すか、という段階に達した時期でした。目の前にある仕事だけでなく自分のインターン先はどのようにビジネスを展開させてきたのか、そして今後のビジョンは何なのかも考えられるようになりました。自分のできないことはたくさんあるのだから、自分のできることで何か結果を残そうとポジティブに日々業務に取り組んでいます。

参加の前と後でギャップはありましたか?

第一に職場環境です。想像していた以上にたくさんの仕事を任せていただきました。インターン生にも結果が求められる環境だったので、結果がうまく出せず、悩むことも多々ありました。しかし悩むことも含めて良い経験になりました。

また私の思い描く「職場」は個人がパソコンに向かい合って、上下関係のあるものでした。一方、私のインターン先はアットホームな環境で、上司も社長も温かく、インターン生の私の提案も受け入れてくださいました。誕生日には会社のみなさんからお祝いしてもらったり、クリスマスや旧正月といったイベントを社内で楽しんだりしたのはとても印象深い思い出です。

社内で女性が多く活躍しているのも驚きました。私のインターン先では大多数が女性で、みんなでランチに行ったりと非常に仲が良く働きやすい環境でした。1人産休に入った方もいらっしゃるのですが、みんなで祝福するムードがありました。日本と比べ、女性にとってなんて働きやすい環境なのだろうと非常に感動しました。シンガポールのオフィス街を歩いていると、おなかが大きくても働いている妊婦さんは多く、社内でのケアが充実しているのだと身をもって感じました。

自分が「英語」とどう向き合うか、その答えが見えた気がしました。この世の中には英語ネイティブがいて、帰国子女がいて、最近では日本語も英語も流暢な留学生もいます。自分はそういった人に英語力で勝ることはできないのだから、何か他の武器を身に着けたいと思い、留学よりも実践経験の積めるインターンシップを選びました。

このインターンシップで確かに英語は手段だと思いました。しかし、手段にするにはある程度のレベルまで達する必要があります。私はインターンシップ参加前は「ある程度」英語ができる方だと思っていました。ただ、「ある程度」をどこの基準におくかは人それぞれです。英語の授業がわかる、旅行で困らない、そのレベルの英語力ではビジネスでは不十分だと気づきました。このインターンシップ中、とっさに英語が出てこず、もどかしい思いをしたことが幾度もありました。この半年間の経験を経て、大学でなんとなく学んでいた英語は絶対に向上させたい言語へと変わりました。自分の目指す英語のレベル、英語を学ぶ意義が初めてクリアになりました。

海外インターンシップをして良かったと思うこと後悔をしていること

良かったこと

将来のビジョンが明確化されました。私が人材系の会社をインターン先に選んだのも世の中の様々な業界を知ることが目的でした。日々、様々な企業を調べる機会があり、自分の気になる業界や企業がシンガポールでどういったスタンスで展開しているのか、など考えられる環境でした。また上司からもシンガポールでのビジネス展開、人材業界についてなどを教えていただく機会があり、今後の就職活動の参考になりました。

シンガポールには駐在員の方、現地採用の方、様々な形で日本人が働いています。そういった方々に簡単に会えるチャンスがあったのも大変魅力的でした。日系企業、外資系企業、ローカル企業、どういった企業を将来希望するのか決めかねていたので、各企業の特色を知れて勉強になりました。海外で働くことが身近に、そして具体的に感じられました。

後悔していること

これはメリットの裏返しになるのですが、日頃からお付き合いする人がどうしても年上ばかりで、同年代の方を見つけるのが難しかったです。職場以外で知り合いを見つけるには自分から動き出す必要があります。友達作りが苦手な私にはそれも良い経験にはなりました。

英語以外に中国語も勉強しておけばよかったと思いました。私がインターンシップをしたシンガポールでは英語に加えて、中国語も日常的に話されています。中国語も学習できる環境だったので渡星前もしくは渡星後でも中国語を勉強していたら、シンガポールの文化をもっと理解できたと思います。

過去のインターン生には海外経験や留学をしている人が多く、留学をしてからインターンシップをしたほうが英語力の面で悩むことは少なかったのかもしれないと思いました。

インターンシップ後のプラン

社会人になる前に、英語力をなるだけ上げたいと思います。TOEICなどの点数ももちろん大切ですが、実際の英会話力も重視し、ネイティブと話す機会をコンスタントに作りたいと思います。英語力の向上に並行し、自分の将来役立つ資格も取得する予定です。

また、今度は国内でインターンシップをする予定です。今回インターンシップで学んだことをアウトプットでき、さらに自身の持つスキルを向上できるような環境でまた働きたいと思います。将来の夢は、東南アジアと日本の人的交流の架け橋になることなのでその夢に向かって日々精進していきたいと思います。

「目の前にある山を全速力で登れ」

これは、東南アジアで事業をされている方とお会いした時にいただいたお言葉です。自分の限界を決めず、自分の考え付く一番高い目標に向かって精一杯努力を続けたいです。