海外インターンシップを始める前に、忘れてはいけないのが、現地のルールや法律をしっかり確認しておくこと。現地の法律を知ることで、その国の様子やお国柄が垣間見えるため、日本にいながらその国のことがよくわかるというメリットがあります。
また、海外には、日本では想像もできないような法律があることも珍しくありません。シンガポールも例外ではなく、世界の中でも法律が厳しいことで有名です。
現地に行ってから、「そんなルール知らなったよ!」と言っても手遅れ。特に皆さんは、短期間の旅行とは違い、数か月間シンガポールに滞在することになるはずです。そのため、事前に現地の法律をチェックしておくことがインターンシップにおけるマナーとも言えるでしょう。
では、果たして法律が厳しいということは事実なのでしょうか?こちらのページでは、シンガポールでインターンシップを始める皆さんのために、シンガポールではどのような法律があるのか、本当に厳しいのか、厳しいとしたらその理由はあるのかなど、シンガポールの法律に関する情報をまとめました!
現地に行ってから無駄なトラブルに巻き込まれないように、シンガポールの法律を事前に確認していきましょう!もちろんすべての法律は網羅できませんが、特に気をつけるべき法律をまとめました。
ビザ
まずは、海外インターンシップに参加するうえで、一番知っておくべき法律内容が、ビザに関する法律。
たとえ短期間であったとしても、シンガポールで働く際には、ビザを取得する必要があります。これに違反した場合は、Immigration Actに違反したことになってしまいます。これはインターンにも適用される法律です。短期間であっても、適切なビザを取ることがトラブルを未然に防ぐためのカギとなります。
罰金
不法侵入とみなされた場合は、2年以下の禁固および4,000ドル以下の罰金が科せられます。また、再入国が拒絶され、二度とシンガポールに入国できない可能性もあるため、危険な行為です。ビザに確認は念入りに行いましょう。
ビデオやDVDの持ち込み
シンガポールに入国する際に気をつけたいのが、ビデオやDVDの持ち込み。全てのビデオやDVDは検問を受けなければいけないという法律があります。Board of Films Censorsというところに提出され、一つ一つチェックを受けます。
普通のビデオやDVDならば、この検問には引っかからないのですが、ひわいな内容や海賊版だったと判明した場合は確実に取り上げられます。
罰金
海賊版などの有効な証明書がないビデオやDVDは取り上げられるだけではなく、フィルム1本につき100ドル以下の罰金がかかります。また、そのようなフィルムを上映、販売、またはダビングした場合には、フィルム1本につき500ドル以下の罰金または6ヶ月以下の禁固となります。
ガムの持ち込み
こちらの法律は知っている方は多いかもしれませんが、シンガポールではガムの国内への持ち込みを禁止しています。そのため、日本からガムを持ってこようとしても、空港で没収されてしまうので気をつけましょう。
ガム禁止の理由
これは、国を清潔かつ綺麗に保つためです。そのため、持ち込みが禁止されているだけではなく、国内では販売もしていません。シンガポール人はガムというものを知らないのか!?と思って聞いたことがあるのですが、シンガポール人は周辺国に旅行することが多いので、普通に存在を知っていました(笑)
罰金
もしもガムを国内に持ち込んだり、噛んでいたりした場合、100,000ドルを超えない罰金もしくは2年間を超えない禁固刑が科されるそうです。ガム一つで100,000ドルなんてたまったものじゃないですね…
初めてシンガポールに来たときは、ガムを持ち込めないなんて、仕事中眠くなったらどうしたらいいんだ!と思っていましたが、実際に来てみればなんのこともありません。すぐにガムの存在なんか忘れてしまいました(笑)
日本でガムが手放せない人にとっては苦痛かもしれませんが、そこまででもなければすぐに慣れるでしょう。
MRTやバス内での飲食
シンガポールでは、MRTやバスなどの公共交通機関内また、駅構内での飲食を禁止しています。これは、日本人からすると少し慣れるまでに時間がかかる法律かもしれません。
日本でも電車やバス内で食べ物を食べることは、マナーが悪いとされていますが、法律で禁止されているわけではないので、たまには軽いものを車内や駅構内で食べることもあるかもしれません。また、シンガポールは暑いので、飲み物も飲みたくなります。ですが、そこはぐっと堪えて、外に出るのを待ちましょう。
罰金
実は、MRTとバス内、駅構内でしてはいけない行為は飲食だけではありません。また、禁止行為の内容によっても罰金の金額が異なるので注意しましょう。罰金一覧は以下のとおりです。
- 飲食:500ドル
- 喫煙:1000ドル
- 可燃液体の持ち込み:500ドル
- ペット・動物の持ち込み:500ドル
- ドリアンの持ち込み:500ドル
ちなみにドリアンはフレッシュなものをその場でそのまま食べるのが一番おいしい食べ方な様なので、車内に持ち込む人はまずいないそうです。
トイレの水を流さない
おそらく日本人はなかなかないと思いますが、トイレの水の流し忘れにも注意してください。トイレの水を流さなかった場合も法律に反してしまいます。
正直この法律はだいぶ無理がある内容だと誰もが思うと思います。まず流してなかったとしても、どうやって当人を見つけ出すのか、監視カメラでも設置しない限り難しいですよね。でもトイレに監視カメラなんてあったらそれはそれで問題だと思います(笑)
罰金
気になる罰金はというと、30ドル。おそらく、シンガポールは多国籍国家なので、中にはトイレの水を流すことが習慣化していない国や文化の人もいるかもしれません。そういう人がいる場合の警告程度の法律なのではないかと思います。
道路の横断
シンガポールでは、道路を横断する際にも注意が必要です。横断歩道や歩道橋が近くにあった場合、それらを利用するようにしてください。もしも、横断歩道や歩道橋が50m以内にある場合、それらを利用せずに道路を横断した場合も罰金の対象となってしまいます。
シンガポールの道路事情
できるだけ事故を防止するためと、交通渋滞を避けるためでしょうか。シンガポールは、日本とは異なり、車の運転が荒いです。スピードも速いですし、車線を無視することもよくあります。
日本では歩行者を優先するように教えられていますが、シンガポールは違います。歩行者がいても止まってくれないですし、スピードも全然緩める気配がありません。なので、横断歩道や歩道橋をできるだけ使用することは自分の身を守ることでもあると思います。
罰金
横断歩道や歩道橋から50m以内の場所で道路を横断してしまった場合、50ドルの罰金が取られます。気をつけましょう。
ポイ捨て
続いて、ごみのポイ捨てに関する法律です。シンガポールは、公共の場所の衛生さをとても気にしています。それゆえ、ガムの持ち込み禁止だけではなく、ごみのポイ捨ても厳しく規制されています。
具体例
ごみのポイ捨てに関する法律は、公衆衛生と環境に関して規制する法律に記載されています。具体的には、カン、ビン、ペットボトルやテイクアウト用の容器などを、ごみ箱以外の公共の場所に捨てることが禁止されています。
シンガポールでは、ホーカーセンターと呼ばれるローカルのフードコートのような場所で、食べ物をテイクアウトしていく人がとても多いです。そのテイクアウトの容器や飲み物の容器を公共の場に置いていくことはしないようにしましょう。
罰金
ポイ捨てが見つかった場合の罰金は、1回目で2,000ドル、2回目で4,000ドル、3回目には10,000ドルと上がっていきます。この罰金は2014年に値上がりしたそうです。きっと違反者が多かったのでしょうね…
喫煙
次に、スモーカーの方が気になる、喫煙に関する法律について。シンガポールでは、禁煙表示がある場所では喫煙してはいけません。
屋内の喫煙
建物内は、喫煙可能の表示がない限り、全面禁煙です。なので、例えば外食していてタバコが吸いたいと思った場合、外に一旦出なければいけません。シンガポールは屋内だけではなく、外にテラス席が設けてあるお店が多いので、そういったところではタバコを吸える場合もあります。しかし、その際も出入り口から5m離れた場所でないといけないので気をつけましょう。また、日本と同じように、MRT内やバス内などは禁煙です。
屋外の喫煙
屋外での喫煙はと言うと、禁煙表示がない限り、どこでも大丈夫です。実は歩きタバコも許されているそう(している人はあまり見かけませんが)。街中には、いたるところにごみ箱のような灰皿が設置してあるので、その周辺にたまって吸っている人をよく見かけます。屋外での喫煙は、吸殻をポイ捨てしない限り大丈夫です。
罰金
もしも、喫煙禁止エリア内で誤って喫煙してしまった場合、1,000ドル以下の罰金が科せられます。日本の居酒屋のように屋内で吸える環境はほぼないので、気をつけましょう。
つば・痰
公共の場所を清潔に保ちたいシンガポールでは、つばや痰を公共の場で吐くことも禁止されています。喫煙者の方や一部の日本人も道端につばや痰を吐く習慣がある人がいるかもしれないので、気をつけたいところです。
中国の文化
とは言っても、日本ではそこまでつばや痰を公共の場で吐く人はいないかもしれません。道端などではあるかもしれませんが、公共の建物内ではまずありえないはずです。
しかし、中国の文化では、東洋医学の考え方で、体内から出た老廃物はすぐに体外に出すことが健康のために良いとされています。そのため、中国に行くとつばや痰をいたるところで吐いている人がたくさんいるそうです。それも建物内やエレベーター内でも見られるとか。
そんな、中華系の人が国の半分以上を占めるシンガポールだからこそ、このつばや痰によって公衆衛生が悪化してしまうことを防ぎたいという狙いがあるのではないでしょうか。
具体的な禁止場所
具体的に、つばや痰を吐く行為が禁止されているところは、「喫茶店、市場、レストラン、学校、劇場、その他の公共の建物、また、バス、鉄道、その他公共の輸送機関の中、そして、埠頭、防波堤、公共の道路、歩道、その他公共の場所」という規定があります。つまりほとんどの公共の場ではいけないということですね。
罰金
これらの公共の場所でつばや痰を吐いた場合、1,000ドル以下の罰金が科せられます。どうしても吐き出したくなった場合は、ティッシュなどを利用することをおすすします。
裸になる
売春行為、浮浪行為の他、公共の場で裸になること、公共の場所から見えるところで裸になることも禁止している法律がシンガポールにはあります。日本でも、公共の場で露出行為をした場合、犯罪になりますよね。なので、当たり前の法律のように思われるのですが、注意が必要です。
家の中にいても注意!
こちらの法律の内容は、「公共の場所から見える私有地において裸体になった場合」も、犯罪とされてしまうんです。つまり、家の中や家のベランダにいたとしても、例えば道路から見える場所であれば、裸体をさらしてはいけないということです。
シンガポールでは、日本のように網戸などはなく、外から中が丸見えなことも多々あります。着替える時などは、カーテンを閉めるなりして、外から見られないようにしましょう。まあ外から見られる方もいやですよね(笑)
罰金
もしも自分が露出的な行為をしてしまった場合、2,000ドル以下の罰金、もしくは3か月以下の禁固刑、またはその両方が科せられます。
公共の場で泥酔
個人的に日本人が注意しておいた方がいいと思う法律が、こちらの、公共の場で泥酔することを規制する法律です。
こちらの法律は、公の秩序に反する行為、迷惑行為などを規制するもので、幅広い項目を網羅し、細かい行為にまで規制が及びます。
その項目の中の1つが、この、公共の場で泥酔することを禁じる法律。公共の道路や公共の場所、行楽地、裁判所、役所、警察署、礼拝所などの近くで泥酔状態で発見された場合、法に触れてしまいます。日本では頻繁に見かける行為でも、犯罪として扱われてしまうため、日本人は注意が必要です。
罰金
以上の場所付近で泥酔状態で発見されたり、騒動を起こしたり、猥褻な行為をした場合1,000ドル以下の罰金または1ヶ月以下の禁固が科せられてしまいます。
シンガポールはお酒が高いので、まず泥酔するまで飲み続けることはインターン生にとってはまず難しいことかもしれませんが、お酒が弱い方はあまり無理しないようにしましょう。
深夜の飲酒
深夜の飲酒もシンガポールの法律では禁止されています。この法律は2013年にできたばかりの一番新しい法律です。2013年に起きた、リトル・インディアでの飲酒によっての暴動がきっかけとなって作られたそうです。
10時半以降はスーパーやコンビニでお酒が買えなくなるので驚かないようにしてください。では、10時半以降はどこに行ってもお酒が買えないのかと言うと、そういうわけではありません。ちゃんとしたライセンスを持ったお店やレストランではお酒を楽しむことができます。
クラークキー周辺に行くと、若者がコンビニなどで買ったお酒を外で飲んでいることがあるのですが、10時半以降はそういったエリアでも飲んではいけないので注意してください。10時半以降はバーなどのライセンスを持ったお店に入ってお酒を楽しみましょう。
罰金
もしも、決められた場所以外で10時半以降に飲酒をした場合、1,000ドルを罰金として支払わなければいけません。何時でもどこでもお酒を飲んでいい日本とは異なるのでお酒を飲みに行くときは頭に入れておきましょう。
同性愛
個人的に衝撃だったのが同性愛を規制する法律。どうして同性愛を禁止しているのかは定かではありません。
シンガポールの法律では、「不自然な性行為」が刑罰の対象となっています。この「不自然な性交渉」の内容には同性愛や同性間でもオーラルセックスが含まれるそうです。個人的に、同性愛が「不自然は性行為」の対象になるのは全く腑に落ちませんが…
正直シンガポールにこのような法律があったことにショックを受けましたが、事実上取り締まっていないというのが現状のようです。ほっとしました(笑)
毎年行われている、LGBTQに対する差別に抗議するイベントがシンガポールでも開催されているのですが、政府も取り締まっていません。時代の流れもあるのか、取り締まれないのだと思います。
罰金
ちなみに、「不自然な性行為」を行った場合、無期または10年以下の禁固および罰金を支払わなければいけません。ですが、先述したとおり、取り締まりは現状していないそうなので、安心して大丈夫だと思います。
ドラッグ
シンガポールでは、ドラッグの使用や持ち込み等を固く禁止しています。日本でもドラッグは禁止されているので、日本人はまず大丈夫だと思うのですが、刑が重いので確認しておきましょう。
アメリカなど一部の国で大麻の使用が合法な場合もありますが、そういった国から来ていたとしても、シンガポールでそれらを所持していた場合、刑罰の対象となります。
罰金
罰金に関してですが、ドラッグの種類によって刑罰の重みや罰金の額が異なります。一つ一つ確認していきましょう。
規制薬物
規制薬物を所持・使用した場合は、10年以下の禁固もしくは20,000ドル以下の罰金、またはその両方が科されます。もし、再犯が見つかった場合は、2年以上の禁固です。
大麻
大麻を330~500gを所持していた場合には、無期または20~30年の禁固および、鞭打刑15回となります。また、それ以上の量を持っていた場合は死刑です。
モルヒネとアヘンの混合
純粋なモルヒネ20~30g、アヘン10~15gが含まれている薬物を取引した場合、無期または20~ 30年の禁固および鞭打刑15回、それ以上の量を持っていた場合は死刑になります。
コカイン、覚醒剤、アヘン
コカイン、覚醒剤、阿片等を含む薬物の取引をした場合、5~20年の禁固および鞭打刑5~15回が科されます。
ご覧のとおり、ほかの犯罪とは比べ物にならないくらい厳しい刑罰が待っていることが分かります。多くの日本人は大丈夫だと思いますが、事件に巻き込まれる可能性もゼロではないので、気をつけてください。
まとめ
シンガポールでのインターンシップをする上で、必要になるであろう法律をまとめました。シンガポールは細かな法律がたくさんあり、大変だと感じるかもしれませんが、住んでみればなんてことありません。逆に、これらの法律のおかげで安全で衛生的な生活を送ることができていると感じます。