近年シンガポールのインターンが人気を集めています。特にマーケティングをシンガポールで学びたいという声を聞くようになりました。そこで今回、シンガポールでマーケティングを学ぶ利点を整理します。
シンガポールのマーケティング事情
シンガポールのマーケティング市場は東南アジアのビジネスハブとして以下のような特徴があります。
1.成長マーケットに対するマーケティング機会が多い
シンガポールはその整備された税制やインフラが評価され、世界一ビジネスをしやすい国と言われています。また、ここ十数年政府主体で起業支援を行った結果、東南アジアに本社を置く企業が急激に増えました。
一方、シンガポールは人口500万人の小さな国です。そのため、ほとんどの在シンガポール企業は国外に事業を展開する必要がありました。幸運にも東南アジアは人口増加と中国の勃興により消費意欲が高まっていました。その時、必然的に需要が高まるのがマーケティングの専門的スキルです。東南アジアはデジタルデバイスの普及率が高くないため、シンガポールで成功したマーケティング手法が通用する保証がないのです。その結果、マレーシアやタイなどの急成長国に展開するためのマーケティングノウハウが蓄積されました。
2.情報網が厚い
シンガポールを拠点とする企業が多いこと、アジアトップレベルの先進国であることから、シンガポール企業には世界中の企業が注目しています。そのため、シンガポールでシェアを広げた企業には東南アジアを中心に頻繁に提携オファーが届きます。つまり、それだけシンガポールの情報発信のパイプが太く、各国への影響力をもつということです。
3.マーケティング先進国からの進出
この強力な情報網を活用すべく、P&Gやネスレなど世界トップレベルのマーケティング力を誇る企業も続々と参入しています。シンガポールは外資の受け入れに依然寛容なこと、通信環境がよくデジタルフレンドリーなことから、これからもマーケティングに強みを持った企業の参入の波は堅調だと考えられます。
4.市場のデジタル化が急速にすすみ、市場が大きな変革期を迎えている
シンガポールでは、紙媒体の広告が依然多きな影響力を持っていますが、スマホの普及率が9割を超えるシンガポールでは、デジタルマーケティングの潜在市場があります。当然デジタル化の流れはより勢いを増してきますので、マーケティング手法そのものを見直す変革期に入っていると言えます。
シンガポールでのマーケティング経験で学べること
これまで見てきたように、シンガポールのマーケティングを取り巻く環境は日本とは大きく異なります。そこで、シンガポールでマーケティングに携わるからこそ学べる事柄を見ていきます。
1.価値観の全く異なる市場でマーケティングを実践できる
外国人が日本の街並みを見ると、その突き出た看板の量に驚くといいます。一方で、TVCMを見ると、何の宣伝なのか分かりにくいものも見かけます。これは日本のマーケティング手法の非常に特徴的な部分です。日本人は文字で語り、言外の趣で印象を与える手段をとります。シンガポールでは、物の形や特徴で目を引き付ける宣伝をよく見かけます。英語という言語の特徴もあり、メッセージを使う場合も直接的な表現です。
さらに東南アジア各国はインターネットへの接続時間が日本平均の倍近いことなどを踏まえると、その手法は大きく変わってきそうです。つまり、将来的に国外でマーケティングをする機会がある方は、日本で蓄積されたノウハウとは大きく異なる頭の使い方をする必要が出てくるので、その違いを実戦を通して体感することができるというメリットがあります。
2.海外に向けブランドを広める開拓プロセスを知る
海外進出の際に欠かせないのがマーケティングとブランディングです。この0から1を創るプロセスは非常に難易度が高い業務になりますが、同時に貴重な経験になります。なぜなら、日系企業の海外進出に携わる人材は一握りですが、シンガポール企業に在籍すると、海外向けの事業に携わる機会が圧倒的に多いからです。
この0から1を創る人材は確実に必要とされることになります。市場開拓には不可欠なマーケティングの分野において、それを実績として企業に示すことができるという点で大きな魅力があります。
3.急激に変化するマーケットだからこその急角度な成長
マーケティングとビジネスは密接につながっています。そしてマーケティングで成果を出すには、消費者の興味や生活スタイルの変化にキャッチアップする必要があります。シンガポール市場は変化が激しいので、常に新しい情報が流れ込んできます。その大量の情報からマーケティングに有力な情報を選別し、普及・衰退する媒体を見極める洞察力は実戦を通して頻繁なPDCAを回すことでしか得られない能力です。
まとめ
ここまで見てきたように、シンガポールでマーケティング業務を体験することは、とても変化の速い環境に適応して自社製品の必要性を伝えるという観点で効果的であると言えます。